2度目、もしくは3度目の腎臓移植を検討されている方が最近、増えています。 今年、渡航案内した内の3名は2次移植です。
臓器移植は他人の臓器を自己に取り入れて生着させる治療方法です。 身体は、他人の臓器を異物として排出する生体反応(拒絶反応)を起こします。 この拒絶反応を抑えるのが免疫抑制剤です。
近年、新薬の開発により移植した臓器の生着期間は年々伸びる傾向にあり、腎移植は20年以上(平均値)の生着が見込める時代となりました。
ところが2次・3次の移植を希望される患者様の中には強い拒絶反応が生じる体質に変化している方がいます。(PRA陽性)
PRA陽性(ハイ・スコアー)の方は通常の腎移植が実施できません。 医学的な説明は割愛しますが、端的に申して血液型不適合移植術(例:A型→B型)同様のプロトコールが必要となります。
適切な手順(事前治療)を踏まないと、急性拒絶反応により数日から数週間にて移植した腎臓を取り出す事態になりかねません。
また、急性拒絶反応を薬剤にて抑えたとして1~2年で腎機能は廃絶し透析に戻るケースも、中国・東南アジア地区へ渡航された方々に見受けられます。
海外で移植する場合、PRA陽性患者に対応した高度の医療機関(移植チーム)の選択は不可欠となります。事前に十分ご確認ください。二重濾過血漿交換(DFPP)等の適切な事前処置を怠ると、移植腎は短期間にて機能を喪失し透析へ戻ってしまいます。
渡航先を選択する際は医療レベル(外科医・実績)を十分に精査なさった上で、渡航の是非をご判断ください。
渡航先の病院HP等にて年間実績やハイ・リスク患者(PRA陽性・高齢者・透析10年以上等)に対する処置や実績等は確認できます。
事前に移植術を受ける医療機関のレベルを確認することは、移植を希望する患者側の基本的な義務であり、責任でもあります。
※私どもでは年間200例を超す腎移植を実施している病院へ案内しています。 本年7月、PRA(CLASSⅠ:95,04%・CLASSⅡ:61.22%)陽性レシピエントに対するカンファレンスの結果、移植チームより受け入れの承認が得られています。 この患者様は14年前に私どもが中国(長沙)へ案内しており、今回は2次移植となります
令和3年8月23日 現地サポート・チームより
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