理事長挨拶
私は8年前(46歳)海外にて肝臓移植を体験した者です。 この度、同じ悩みを抱えている方々へ役立ちたいとの想いから理事長を引き受ける決心をしました。
当時を振り返れば・・・ 余命が迫り妻子を残し他界することは断腸の想いでした。 その様な折にネットの検索で当団体を見つけ渡航の決断をしたのですが、それは簡単な事ではなく、様々な葛藤がございました。主治医や周囲の反対に遭い悩んでいるうちに病状は悪化していきました。。
最終的に自分の人生は自分で決めるとの覚悟に至り渡航を決めました。 案内された移植センター(国立病院)には十数名の日本人患者やその家族が滞在されていました。皆さん同様の悩みを乗り越えて渡航されていることを知り、異口同音に「現地へ来て初めて分かった。日本に居ては真実が見えない」と口々にされてました。。
渡航に関する情報は錯綜しており、利害関係や信条から渡航に反対される医師やご家族も少なからずいます。 多様な意見や価値観の相違は正常な事と私は思いますが合理的根拠のない憶測から渡航の是非を語るのは慎むべきと思います。 理事長として、また公益法人として様々な意見や考え方を尊重しつつ健全な移植医療のあるべき姿を模索したいと考えています。
私どもの活動に於いて、最も重要なことは命を救うことであり、私の責務と認識します。 正しい情報を入手すれば助かる命はあります。例えば下記の3項目は一般的に周知されていせん。
①国内で治療の機会がなくとも世界に目を向ければ治療を受けられる病院や医師はいます。 ②脳死判定後に摘出されず廃棄する臓器の有効利用にて移植手術が受けられるケースもございます。(特に心臓・肺)※国内では修復腎移植。 ③帰国後に診てもらえる病院がない等の風評がございますが、今日まで診療に応じて貰えない患者は誰一人いません。(備考欄参照)
私が元患者であった経緯から海外へ患者を案内するだけではなく国内で移植治療の機会を増やす活動も積極的に実施する所存です。これには皆様の協力や支援も必要となるので意見や具体的方策など皆様と一緒に考えたいと思います。
あとがき
私が今こうして父の会社を引き継ぎ健康な暮らしが得られたのもドナーのお陰です。深く感謝しています。 海外へ渡航せずに国内にて移植治療の道が開かれるまで活動を継続する所存です。皆様のご協力とご理解を賜りますよう宜しくお願い申し上げます。
令和3年1月27日 理事長 逢坂守恭
備考
浜松地裁 平成30年12月14日・浜松高裁 令和元年5月16日 要旨
帰国後2か月余り経過した患者が近隣の病院へ転院を求めたところ対応した医師は採血と採尿検査を実施した。 健康状態を確認した上で「従来の病院にて継続治療するのが望ましい」医師の説明に対し患者側は「結果的に断られた」として損害賠償を求めた。(浜松地方裁判所)
この裁判は患者側が敗訴していますが、医師法第19条1項の「応召義務」を判断したものではなく、原告の請求である損害賠償の成立が審理されました。
判決(主旨) ①既に原告は通院先の医療機関と主治医がいる。 ②医師は診察に応じており、問診及び各種の検査を実施した。 ③検査の結果、健康状態は良好であり緊急性が認められない。 ④他の病院でも診療は可能である。 ⑤イスタンブール宣言に一定の合理性がある。
争点は賠償責任が成立するか否かの裁判であり、診療拒否を容認した判決ではありません。 ※実際の問題として診療に応じない病院(医師)があるのも事実です。
その後、原告は従来の通院先(主治医)から改めて紹介状を持参し近隣の公立病院にて継続治療を受けています。
3名の日本人外科医(英語・中国語対応)による問診・受診(有料)事前相談から帰国後の受け入れ病院へ案内する迄が私どもの支援活動となります。 (転載・配布・許可)
法人番号第1013205001496号 内閣府認証・特定非営利活動法人「難病患者支援の会」 事務局より
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