ドナーの出処に付いて 新興国では脳死判定しても肺の摘出は国または地域により20~50%程度しか実施 されていません。(心臓の採用率は50~70%残りは廃棄)
半分以上の肺臓は移植に採用されず廃棄されている現実があります。(詳細は1月8日 付け記事参照)
*未利用臓器の採用に関して当事国政府及び医療関係者から積極的な協力が得られ ています。到着空港への医療スタッフ派遣。救急車の手配。医療VISAの申請など迅速 に対応して頂けます。
利用されず廃棄される臓器により日本人患者の命が助けられるならばイスタンブール 宣言(WHO勧告:注1)の主旨に照らしても積極的に取り組むべき活動と私どもは考 えています。 わざわざ待機患者の多い国や地域へ行って順番の割り込みをする必要がないからです。 渡航先の教授は「概ね1~2ヶ月前後でドナーは出処します」との話を頂いており適合 かつ良好なドナーの出処まで待てる余裕があると説明を受けています。
脳死判定が実施される場合は必ず主任医師(肺移植の第一人者)へ打診が入るシステ ムになっているとの事です。
渡航移植の相談は早過ぎて不利益となることは何一つございません。 十分余裕のある時点(病状)に於いて情報取集することが肝要です。現地の事情や正 確な知識を入手した上で渡航の是非を判断なさってください。
<備考> 国内であれば移植手術の適応であっても海外の病院もしくは執刀医は「外国の方なの で辞退します」思いのほか、あっさりと断られる事が度々ございます。(腎臓・肝 臓・心臓移植も同様です)
名高い病院・外科医ほど引き受け条件は厳しくなります。 その理由として日本人が海外で死亡した場合、日本大使館は「事件性の有無」を調べ るため警察(公安)へ連絡し死亡原因を調査します。 大使館が「死亡証明書」を交付しなければ火葬も移動(遺体の帰国)もできません。 多忙の折に様々な煩雑な対応を強いられるので病院及び移植チームは自国民に対する 手術と比較して、より慎重になってしまうのです。
注1)*WHOは渡航先の患者に対し治療機会を奪う移植ツーリズムは禁止すべき と勧告しています。但しこの勧告に法的根拠及び拘束力は有していません。
令和3年1月13日 (転載・配布自由)
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