患者さんやご家族と接して感じることは「お金をさえ払えば移植はできる」この様な先入観を持たれている方をしばしば見受けします。これはまったくの間違いです。 実際は移植の適応検査をクリアーされた方だけが対象となります。 レシピエントが体調不良の場合、移植治療は不可となり帰国しなければなりません。簡略に申せば「手術の成功率の高い患者だけが移植治療を受けられる」と言うことです。 適応検査が厳しい理由 移植を希望されている多くの患者の中からリスクの少ない患者を選択する傾向が強くなっています。 海外にて日本人が死亡された場合、私どもは日本大使館へ通知する義務がございます。 大使館は私どもの連絡を受けると死亡原因に事件性の有無を確認するため警察(公安)へ連絡を取り事実関係を調査します。 またその際は医療関係者も事情聴取に応じなければなりません。報告書の作成や煩雑な手続きなど業務に支障をきたします。その様なことから移植チームは体調不良のレシピエントに対しては慎重にならざるを得ないのです。\ 折角、海外まで行かれて不可となった場合、多くの患者さんは狼狽されます。また取り乱され、感情的な言葉を口にされる方も少なからずいます。しかし裁定を翻すことはできません。 現状、面談または電話相談にて3割前後の方は渡航案内するまでもなく不適応となります。 患者や家族の方々は「つい最近まで元気だった・・・」「歩けなくなったのは先週からです・・」など話されますが肝機能障害の人は、ある日を境に突然体調不良となります。 腎臓移植の場合でも重い糖尿病から透析になられた方は不可となるケースが増えています。 術後、感染症を発症すると重篤となるリスクがあるからです。 数百人の移植希望者を抱える「移植センター」は敢えてリスクの高い患者さんを手術する必要がないことを患者の方々は理解しなければなりません。 貴重なドナーは移植後、社会復帰が見込めるレシピエントに優先されます。 ※食事制限や術前のリハビリを明示されたレシピエントは厳格に守って頂きます。 もし病院の指示に従うことができない場合は帰国となります。その際、預り金は(実費を除く)は全額返金いたします。 厳しいことを記述しますが「必ず健康を取り戻し、周囲を見返してやる」この様な決意と心構えが渡航移植には必要となります。
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