現在、中国への渡航は見合わせています。 透析されている方や慢性肝不全の方が感染した場合、重篤となる恐れがあるからです。今月、出発される方はいずれも中国以外の地域となっています。
先日、腎臓移植を希望されている方から「渡航先で鳥インフレエンザに感染する可能性はないか?」過度の心配をされている人がいました。 渡航予定先は中国ではないので心配は不要と申し上げても「もし中国から現地に感染が広がったら・・・・」と聞き分けがありません。 この方は生まれて初めての海外へ行かれるとのことで不安でならない様子です。
そこで移植の適応検査の時に日本の医師から説明して貰うことにしました。 たいへん参考になる話だったので下記に要点を記述します。
“医師の説明 インフルエンザウイルスは高温・多湿の地域での感染リスクは低くなります。 人から人へは主に「飛沫感染」により伝染します。 飛沫感染とは咳やくしゃみなどにより飛び散った病原菌が直接口や鼻の粘膜に触れて感染することです。 通常は1~2メートルの範囲ですが空気が乾燥していると病原菌が10メートル以上浮遊することもあります。 また人間の体温が低くなると免疫力が低下し感染しやすくなります。 これらの事からインフルエンザは冬の乾燥した時期に流行します。
過去の事例を見ても高温多湿地域では鳥インフルエンザに限らずウイルス感染が拡大したことは少数の前例を除きありません。 ※感染防止は外出時にマスク、自宅では加湿器が有効との話です。
〇〇さんが最も注意すべきは通常のインフルエンザです。 「高齢者」や「病弱者」を中心に毎年1万人を超える方が亡くなられています。一般的に「風邪をこじらせて肺炎を併発した」と耳にすると思います。 「高齢者」とは80過ぎの方がほとんどです。
この「病弱者」の中に「透析患者」が該当します。〇〇さんは透析をされて1年を超えています、また年齢も60代半ばなので体力や抵抗力は1~2歳の子供と同等と推察されます。むしろ日常生活に注意してください。
術後の心配 腎臓移植直後は強い免疫抑制剤を投与するので病原菌の感染リスクが極めて高い状態となります。 この免疫抑制剤は段階的に投与量を減らしていきます。術後23~4カ月で投与量は4分の1~6分の1と少なくなります。 この頃になると同年輩の健常者とほぼ変わらないまで体力と抵抗力が体に備わってきます。外出時のマスクも不要となり飲酒や娯楽も過度でなければ問題ありません。
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