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渡航移植の現況・・ 2014年09月22日

渡航移植の現況・・
私どもが活動を始めた頃は(8年前)はコーディネーター(仲介者)がネット上に二十数件ございました。
しかし現在では私ども含め数件しかございません。
なぜ減少したのか?その理由は「引受か病院が無くなった」からです。
昨日まで日本人の受け入れをしてくれた病院が「今後、日本人の受け入れはできなくなりました」何の前触れもなく通告されることも度々です。
唐突に関係を断たれたコーディネーターは対応に苦慮し、移植希望者を私どもに委託してくるケースが幾度となくございましたが、それらに付いては一昨年、顧問弁護士の指導により中断しています。その理由は責任の所在が不明確となるからです。
もう一つの理由として、私どもが対応できる案内は毎月2~3名程度となっており、余裕がなくなってしまったこともあります。

海外の医療機関を探す際は以下の点に配慮なさってください。
① 渡航移植の安全性
海外の病院を選択する際に重要となることは「外国人受け入れの実績と手術件数」です。
術後のダメージコントロールは実績豊富な医療機関が優っていることは申すまでもありません。日本国内に於いても同様なことが言えます。事前に現地へ問診を兼ねて視察されることを勧めます。
また、ネットの検索だけではなく実際に移植手術を受けられた人たちから話を聞かれることが最も良い方法です。できれば一人二人ではなく5~10人以上から聞かれると真実が見えてくる筈です。
② 費用に付いて
各医療機関と比較検討してください。特に米国は交渉次第で数千万円単位で変わります。
③ 待機時間に付いて
直接ドクターまたは渡航経験者(複数)から聞かれると良いでしょう。コーディネーターの話は信頼性に欠けます。
④ 渡航移植の問題点
安価な金額を提示し「これは別料金」後々加算されることです。滞在費などの諸経費も含めて渡航計画を立案しましょう。外国人に対しては謝礼金を求められます。自国民より優先する理由は謝礼金の有無(大小)と言えます。

海外の病院を選択する際の確認事項
① 渡航先の所在地・病院・医師・ドナーの出処・ICUのバックアップ体制を確認する。
上記は基本的なことです。
② 渡航移植は内密に行うものではございません。
渡航計画は法令に従い正規手続きを経て申請なさってください。一部の関係者だけで内々に進める事案を耳にしますが、渡航後にトラブルが生じる危険性があります。
③ 術後のバックアップ体制が極めて重要となります。
海外で命を落とされるケースで最も多いのが術後の感染症(肺炎)です。
拒絶反応を抑えるために投与する免疫抑制剤の作用により細菌やウイルスに対する抵抗力は極度に低下し、感染症を発症します。特に高齢者・長期透析者・糖尿病から腎不全になられた方は重篤となりやすいので注意が必要です。
感染症がひとたび発症すると呼吸器科・免疫科・循環器科など各専門医による救命体制が不可欠となります。チーム医療の重要性はここにあります。
④ ドナーが生体の場合(腎臓)
臓器摘出後、直ちに移植できるので生着率が高く安全な移植と言われています。
現在では摘出後の保存液の開発などにより腎臓摘出後72時間まで移植可能な時代となりました。もちろん摘出後すぐに移植されることが望ましいことには変わりありません。
海外の場合、生きた人からは腎臓を貰うのはどうしても不透明な部分が生じてしまいます。
縁もゆかりも無い日本人に対して無償で提供されることは考えにくいからです。したがって一部の関係者のみで秘密裏に進めることになってしまうのです。(チーム医療が機能しない)
※臓器売買は海外で行われた場合であっても国内法が適用され処罰の対象となります。
⑤ ライセンスの無い医療機関
論外な話ですが、アジア地区では生体ドナーによる外国人の移植が度々行われています。
ライセンスを取得していなので移植医は他の病院(他国)から土日などの休みを利用して出張して来られます。
手術が終わると直ぐに戻(帰国)られるので最も重要となる術後のダメージコントロールは責任者不在となり誰がどの様に最終責任を負うのか不明確となってしまいます。
またICUのバックアップ体制は移植経験が無い医師が対応することになり、拒絶反応・感染症に対して適切な処置が行えません。免疫抑制剤の処方が適切でないと、たとえ移植した腎臓が生着しても糸球体の損傷により短命に終わってしまい術後、数年で透析に戻ってしまう恐れがあります。
⑥ コーディネーター(仲介者)について
過去の実績ではなく直近1年内、できれば半年内の案内件数が重要となります。渡航移植の状況(条件)は流動的で過去と同列に語ることはできないのです。

患者側の認識と問題点
① 渡航資金を用意すればいつでも移植はできる・・
外国人に配分するドナーの減少により引き受け医療機関は少なくなっています。以前とはまったく事情が変わったと認識してください。
② 具合が悪くなったら渡航する・・
病状(スコアーリング)が悪化した患者は適応外となります。
外国人対応しているトップクラスの移植センターはリスクの高い患者を敢えて選択する必要がないからです。
成功率(生着率)の高いレシピエントに限られます。

渡航移植は狭き門へ
ドナー減少に伴い病院側の選別が一層厳しくなっています。
以前であれば70歳以上の方でも体調が良好であれば引き受け可能でしたが、今年に入り4名の方が不適応との診断結果でした。
また年齢だけではなく透析期間が長く基礎体力が低下した方や糖尿病の重い方も不可となり、併せて7名の方々が不適応になりました。
不適応となった患者さんの中には「手術費を増額してもよい」と申される方もいますが、診断が覆ることはございません。
・今回は渡航移植の実情に深く踏み込んで記述しました。参考になさってください。



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