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海外移植のリスクについて(腎臓移植) 2015年05月27日

移植希望者の最大の関心事は「無事に移植を済ませ帰国できるのか・・」この一言に尽きると思います。
不測の事態が生じた時に誰が、どのように対処して貰えるのか、その責任の所在はどうなっているのか・・・

腎移植は術後のバックアップ体制の優劣が最も重要となります。
臓器移植は予後に生じる拒絶反応と感染症との戦いの歴史と申しても過言ではありません。

拒絶反応については近年、新薬の開発により制御が比較的容易となり移植腎が生着しない事は極めて稀となりました。
また術前の適合検査の精度が飛躍的に向上し、ハイリスクの患者に対しては様々な事前処置により拒絶反応を軽減する技術もほぼ確立されています。

一方の感染症に関しても医学の進歩により重篤となるケースは減少しましたが、今日でも感染症の克服は最重要課題となっています。
国内外問わず死亡事例の90%以上は感染症の起因によるものです。

また、死亡に至らなくとも適切な処置が行われない場合、移植した腎機能の廃絶や糸球体のダメージにより生着期間が短命に終わり数年で透析に戻るケースもあります。
•詳しくは文末をご覧ください。(注:1)

医療機関の選択
移植の症例数を基準に選択されるのも一つの判断材料と思います。
年間数例の医療機関と数百例をこなす移植センターでは術後のバックアップ体制が根本的に異なります。
症例数の少ない病院は外科医が中心であり、数百例(年間)の移植手術を行う病院は各専門医の連携による「チーム医療」を採用しています。
外国で移植する場合は、やはり「チーム医療」の方が安心できます。詳しくは(注:2)
日本国内に於いても年間100例以上の病院と数例の病院では生着率・生着期間に明らかない差異が生じています。
その他、難易度の高い肝臓・心臓・心肺同時移植など実施している病院ならばICUのレベルは高く、より安心できます。(私どもの案内先も対応しています)

渡航に関するトラブル
渡航先の医療機関としっかりとした関係が構築されていないにも関わらず、場当たり的な渡航移植の勧誘を繰り返す仲介者もいます。
渡航移植のトラブルは患者サイドが現地の事情を正確に把握せずに渡航され、予想外のトラブルに巻き込まれるケースがほとんどです。
実際のトラブルとして、ほとんど実績が無い病院に外科医が出張で来られ、術後すぐに不在となるケースです。
主に生体移植(臓器売買)で行うため、公にできず一部の関係者が秘密裏に手術を行います。
もし患者の容態が悪化した場合、専門医が不在のために適切な処置がなされません。また責任の所在も曖昧となります。

その他、着手金やドナー手配の名目で費用を支払った後に移植が出来ないケースも耳にします。
最終的に移植ができれば良いのですが、ある日、突然連絡が取れなくなり前払い金が戻らないケースがほとんどです。
この様なトラブルを事前に回避するには、仲介者の言葉だけではなく渡航経験者(複数)から実情を聞かれるのも一つの方法です。
もし仲介者が渡航経験者(複数)との接触を拒むようでしたら実績が無いと判断すべきです。(渡航の是非は正確な情報取集が基本です)
私どもの経験上、海外で移植を済まされた方は同じ病気を抱えた人に対し自らの体験を伝えることに、むしろ協力的で親身になって話してくれます。
•「患者会」03-6742-5014 渡航経験者から直接、話が聞けます。

(注:1)術後のリスク
感染症による体内炎症(肺炎→敗血症→多臓器不全)が広範囲に拡散した場合、治療薬である抗生物質の効果を高める為に免疫抑制剤の投与を漸減する処置を行います。
免疫抑制剤を減らせば抗生物質の薬効は向上し、感染症の抑圧に有効となりますが反面、移植した腎臓に拒絶反応が生じ糸球体細胞に深刻なダメージを与える恐れがあります。
医療チームは移植した腎臓を保護しながら感染症の制御をしますが増悪した場合、最終的に生命と移植腎のどちらを優先するかの選択を迫られます。結果的に移植した腎臓を放棄することになり、透析を再開しながら感染症の治療に最善を尽くします。
また腎機能が廃絶に至らなくとも一旦死滅した糸球体細胞はもとには戻らず濾過機能が低下し、クレアチニン・尿素窒素・尿酸は基準値の範囲に達せず、移植腎が短命(数年)に終わることも少なからずございます。

(注:2)医療システムの違い
日本では外科医が問診から手術、退院まで主治医として担当しますが、海外では治療の進行にともない夫々、担当医が代わります。
問診は内科医、手術は外科医、ICUはチーム医師団・病棟はフォローアップの専門医と4段階に分かれます。
年間数百例の移植を行う移植センターは分業システムを採用しています。(私どもが案内する医療機関も同様です)

分業システムとは各担当医が専門的に対応します。
例えば外科医は移植手術を専門的に行い、ICUへ患者を送り出せば職務は完了となります。
次のステップであるICUは感染症の専門医をリーダーに腎臓内科・麻酔科・呼吸器科・循環器・消化器内科など各専門医が24時間体制にて対応します。
分業システムは専門性が高く容態の変化に対し機敏に対応でき、効率よく治療が行える反面、医師と患者の関係が軽薄となり不安を感じる方もいます。
•世界各国から移植治療を求めに来る移植センターでは日本語、英語、韓国語、アラビア語など専属通訳が各2名以上配置されています。
日本では想像できないスケールにて移植手術が行われている現実に渡航された方々は驚かれます。

私どもの活動
渡航申請を医療機関に提出し、受け入れの承認から滞在許可の取得、帰国後の病院の手配までが範囲となります。
相談料・着手金は不要です。詳しくは私どもが配布している「渡航計画書」をご覧ください。
                                平成25年5月27日



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